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同窓会組織の法人化のメリットと、運営に求められるマネジメント力

 

同窓会組織の多くが任意団体として活動するなかで、一般社団法人、一般財団法人として法人化している組織があります。

同窓会組織の法人化のメリット、デメリットはどこにあるのでしょうか。大学と同窓会組織の関係性についてどのように考えていくべきでしょうか。そもそも一般社団法人、一般財団法人とはいかなる組織で、その設立にはどのような手続きが必要なのでしょうか。

同窓会組織の法人化にむけて、目下準備を進める桜美林学園 事業開発部校友課の大宮匡喬さんが、レックスウェル法律事務所の弁護士・野元学二先生のもとを訪ね、お話を伺いました。

 

レックスウェル法律事務所

(写真左)桜美林学園 事業開発部校友課 大宮 匡喬(まさたか)様
2020年8月 学校法人桜美林学園に入職。前職では10年間営業を担当。趣味は読書や筋トレ、スポーツ観戦。

(写真右)レックスウェル法律事務所 マネージング・パートナー弁護士 野元 学二先生
現在は企業法務、研究開発法人・学校法人等の利益相反マネジメントなどを中心に弁護士活動を行うほか、「ノモガクジ」との芸名で演劇活動も行う。

 

対外的な信用力の強化

大宮さん
本日はよろしくお願いいたします! 私ども桜美林学園では現在、同窓会組織「桜美林大学校友会」の法人化に向けた準備を進めています。法律的な視点からすると、同窓会組織の法人化のメリットはどこにあるのでしょうか。

野元先生
最大のメリットは、対外的な信用力を高められるということです。一般社団法人や一般財団法人として法人化するには、定款を作成し、法人の目的や組織、代表者や理事、社員の権限や責任、財産の所有関係といった基本的な事項を明確に定めなくてはなりません。

取引先からみると、しっかりとした組織をつくり、継続的に活動を展開している法人と契約を締結することになるので、信用力が格段に上がるのです。また、法人名義の銀行口座の開設や、同窓会館等の不動産を登記できるのもメリットの1つといっていいでしょう。

法人で仕事をする人の側からみれば、一般社団法人や一般財団法人の役員や従業員に社会保険の加入が義務付けられている点もメリットといえますね。

大宮さん
同窓会組織の位置づけをはっきりさせて、透明性の高い運営を実現するという意味でも、法人化の意義は大きいのかもしれませんね。

野元先生
同窓会組織が大学の一部なのか、権利・義務主体として独立した団体なのか。曖昧さを残すことなく規定できるのも大きなメリットといえますね。大学から独立した法人となることで、同窓会組織は卒業生に対するリカレント教育のほか、大学への帰属意識を高めるための活動を展開したり、収益活動の幅を広げたりと、独自の活動を積極的に展開できます。

大学側からみると、同窓会組織を独立した法人として切り離しておくことで、万が一トラブルが起きた場合のリスクヘッジになる可能性もあります。

大宮さん
なるほど。
大学と同窓会組織とのつながりを希薄化させないためにも、両者の関係性をしっかりとマネジメントすることが求められると考えてよいでしょうか。

野元先生
そうですね。総長や学長、教職員に法人の理事を兼務してもらうなど、両者の協力関係をより強固なものにしていく工夫が必要です。また、
同窓会組織の持続性を高めるためには、大学側の人間がどの程度法人の運営に関わるのか、誰が決定権を握るのかといったテーマについての基本方針を共有し、定款で定めておくことも大切です。

むろん、同窓会組織を法人化せず、従来通り、大学の活動の一環として取り組むというのも選択肢の1つです。

大宮さん
法人化に伴うデメリットがあるとすれば何でしょうか。

野元先生
強いて挙げるとすれば、それなりの手間や労力、費用がかかるということでしょうか。法人設立のための初期費用のほか、会計処理や税務処理を含めたランニングコスト、人的資源をはじめとする独自のリソースを準備する必要がありますが、それなりの規模のある同窓会組織であればデメリットというほどのものではないのかもしれません。

 

一般社団法人・一般財団法人の「非営利性」を活かす

大宮さん
同窓会組織が法人化する際の法人形態についてはどのように考えればいいですか。

野元先生
同窓会は人の集まりであり、かつ、公益を目的としたものではないという点を考慮すれば、「一般社団法人」として法人化するのが基本的な流れでしょう。

ただ、潤沢な資産を保有している同窓会組織で、その資産を大学の発展や校友の共益に役立てていくことに重点を置く場合には、「一般財団法人」として法人化することも考えられます。

大宮さん
私は英文科出身で法律には疎いので、一般社団法人、一般財団法人についてもう少し具体的に教えていただけるとありがたいです。

野元先生
平成20年12月1日に施行された「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」により設立できるようになった法人形態です。社団は「人」の集まり、財団は「財」の集まりを意味するわけですが、一般社団法人及び一般財団法人の大きな特徴として「営利を目的としない」という点が挙げられます。

「営利を目的としない」といいますと、「収益事業を行えない」「利益を出してはいけない」といった誤解をされる方もいらっしゃいますが、そういうことではありません。株式会社のように出資者に剰余金を配当したり、解散後の残余財産を分配したりすることができない、という意味で「営利を目的としない」団体なんですね。

ちなみに、法人格を付与されていない団体は「任意団体」、社団・財団としての組織の実態を持つものの法人格を持たない団体は「権利能力なき社団」「権利能力なき財団」などと呼ばれ、判例上、法人に準じた性格が認められるケースもあります。

大宮さん
ありがとうございます! 具体的に一般社団法人や一般財団法人を設立するには、どのような手続きを踏めばよいのでしょうか。

野元先生
これらの法人の設立は準則主義によります。つまり、法律に定められた要件を満たし、法律に則った手続きを完了すれば、許認可の必要なく、誰でも設立することができる仕組みです。

一般社団法人の場合には社員2名以上、理事が1名以上いればよく(理事会をおく場合には理事3名以上(うち代表理事を選定)、監事1名以上)、定款を作成して公証人役場などで認証を受け、代表理事または理事が法務局に持ち込むことで設立することができます。

 

大宮さん
さいごに、法人化に向けて早めに準備しておくべきこと、注意すべきポイントについて教えてください。

野元先生
先ほど申し上げたように、一般社団法人及び一般財団法人のいちばんの特徴は「非営利性」にあります。この特徴を活かすべく、
定款をしっかりとチェックし、税制上の優遇措置も最大限に受けられるようにしておくことが重要です。

それから、大学との関係を考慮しながら、いかなる事態に直面しても継続していけるような組織をつくることも大切です。法人の運営を通してさまざまな経験を積み重ねるなかで、組織全体をマネジメントする力を高めていかねばなりません。

 

おわりに

いかがでしたでしょうか。
同窓会組織の法人化に魅力を感じた方や「意外と大変そうだ……」と感じた方など、それぞれいらっしゃると思います。

法人設立のためには費用や業務手続きなどそれなりのランニングコストはあるようですが、組織として対外的な信用力が上がるなど、多くのメリットがあることが分かりました。

逆に、法人化する際に人的なリソースを多く必要とする場合もあるため、規模がそれほど大きくない同窓会組織は法人化しないケースもあるようですね。

同窓会組織(卒業生)に裁量を与えて運営を委任することは、学校法人にとって卒業生という資産を大学経営により活かすという意味でも非常に重要です。

法人化させることでより一層組織としての活動の運営や管理を行う必要があるため、法人化のメリットはとても大きいと個人的に感じました。

そして、法人化させた後も大学と同窓会組織の関係が希薄化しないよう両者を連携させるためにも、大学のビジョンを同窓会会員に理解してもらい、充分なコミュニケーションをとった上で協力関係をより密にしていく必要があるのです。

 

今後、「自校の同窓会組織を法人化したい」とお考えの方は、レックスウェル法律事務所までご相談ください。

【取材協力】
レックスウェル法律事務所
東京都渋谷区代々木1-16-4
Tel:03-6383-4785

 

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