ブログ

  1. HOME
  2. 調査記事
  3. 大学寄付金の戦略・使い道をアメリカの大学の事例から学ぶ!

大学寄付金の戦略・使い道をアメリカの大学の事例から学ぶ!

大学寄付金の戦略事例 寄付金で同窓会を組織化する

大学寄付金の戦略や使い道(使途)はどのようにすべきなのでしょうか。本記事ではアメリカの大学の事例を紹介し、「同窓会の組織化」のモデルとして、寄付金などの面から学ぶべきポイントについて考えてみたいと思います。

アメリカの大学の同窓会組織は、こうしてつくられた

同窓会の組織化と聞いてどのようなことを思い浮かべるでしょうか。

「ばらばらの物や人を、一つの体系のもとにまとめること。」
引用:三省堂 大辞林(第三版)より

組織化の意味は上記であり、身近なところで言うと会社や自治体などが浮かびます。

では私たちがイメージする日本の同窓会は組織化していると言えるのでしょうか。
そこで本記事では、「同窓会の組織化」のモデルとして、アメリカの大学の事例を紹介し、寄付金などの面から学ぶべきポイントについて考えてみたいと思います。

アメリカの大学で本格的な同窓会組織が設立されたのは、19世紀以降です。

Webster S. Stoverによるアメリカの校友行政に関する研究によると、アメリカの大学で初めて同窓会組織が設立されたのは、1821年。マサチューセッツ州の私立大学「ウィリアムズ・カレッジ」です。

教育を受けた母校の支援・援護・発展を目指して、支援体制を統合した卒業生組織という目的のもと、学長と理事会の対立による母校の混乱収束に役立ったようです。

次いで1826年にはプリンストン大学が母校の利益と卒業生の親睦という2つの観点から、同窓会組織を設置。その後19世紀前半から中頃にかけて、私立大学を中心として同窓会が次々と設立されました。

さらに、20世紀に入ると、州立大学においても卒業生の組織化が進められました。

しかしながら多くの同窓会の創設当初の目的は読書会のような社交が中心とされ、組織というより卒業生の集合体に近かったのかも知れません。

ところが、19世紀後半から20世紀前半にかけて全学統一校友会と呼ばれる、安定した基金の確立を目的とした組織化が台等していきます。

今までの同窓会組織は卒業生による自然発生的なものだったのに対し、校友会の設立は大学からの働きかけで設立されたことが大きな違いです。

<アメリカの同窓会年表>

「卒業生との関係や組織の変革を通じた最大の目的は、安定的な基金の確立であった。」
引用:江原 昭博「アメリカにおける大学の同窓会- その成立過程と日本への示唆-」,『国立教育政策研究所紀要第138集』(2009年)より

とあるように、卒業生と大学との関係に組織化をはかることで使用用途が制限されることのない寄付金による安定的基金の設立に至ったのです。

日本とはケタ違いの寄付金事情

ここからは、アメリカの大学財政における同窓会組織の存在感の大きさについて、寄付金の面から考えてみましょう。


引用:文部科学省実施平成30年度寄付フォーラム配布「寄附に係る基礎資料」(平成30年7月12日)より

図を見て分かる通り、日本の私立大学法人の財政において、寄付金の占める割合は、学生納付金50.6%、自己収入32.2%に対して、わずか2.5%にすぎません。
一方、アメリカの私立大学の財政において寄付金の占める割合は15.7%と学生納付金39.3%、自己収入21.4%と日本の大学ほど差がないことがわかります。

また、2018年のアメリカの大学の寄付金受け入れ額ランキングでは、ハーバード大学の12億8000万ドル(2019年9月30日現在、約1,381億3,943万円)を筆頭に、スタンフォード大学11億3000万ドル、コーネル大学7億4350万ドルと続いています。また、州立大学に関しても、ワシントン大学やUCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)は、5億ドルを超える寄付を受け入れています。

参考:文部科学省実施平成30年度寄付フォーラム配布「寄附に係る基礎資料」(平成30年7月12日)より

一方、2016年の日本の国立大学法人の寄付金収益は総額1054億円です。

ハーバード大学一校への寄付金にも満たない金額です。アメリカの大学がいかにケタ違いの寄付金を獲得しているかが見て取れるでしょう。

引用:文部科学省実施平成30年度寄付フォーラム配布「寄附に係る基礎資料」(平成30年7月12日)より

アメリカの大学のモデルケースを紹介

次に、アメリカの大学の同窓会組織のモデルケースから寄付金と組織化について考えてみましょう。

ハーバード大学のモデルケース

強固な同窓会組織の代表例として挙げられるのが、全世界70か国に165の支部があるというハーバード大学の同窓会です。資金獲得に対する考え方や仕組みづくりについて紹介していきます。

「ハーバード大学発展のためには,初心と学部教育充実のために同窓生からの寄付が鍵であるとの考えを明確に表明している」
引用:山田礼子「アメリカの大学における最近の同窓会戦略 多彩な活動を支える専門家を育成」,『カレッジマネジメント144』, リクルート進学総研(2007年)より

上記のとおり、学長自らが大学発展のために寄付が重要であると明言しています。

さらにホームページ上で、今までの寄付金がどのように使われてきたのか、そして、今後の大学の発展にどのように貢献していくかが記載されています。

次に寄付の仕組みに関しては、遠方や米国外に住む同窓生のために、クレジットカード決済を活用し、オンライン上で資金獲得を行っています。
また、株式譲渡や投資信託など寄付金により卒業生が得られる恩恵も明示していることがわかりました。

このように透明性を担保しながら、同窓生がスムーズに寄付を行うことのできる仕組みをつくりあげているため、卒業生は在学中から愛校心を高めることができ、寄付による大学への貢献をしやすいのではないかと思います。

ちなみに、ハーバード大学には、「ディベロップメント・オフィサー」と呼ばれる、同窓会の組織化や資金獲得に携わる担当職員が、数百人もいるといわれています。
担当職員を設けた背景には、政府からの資金援助が縮小する中、大学独自のはたらきによる安定的な基金の確立が必要になったことが挙げられます。

UCLA(カルフォルニア大学ロサンゼルス校)のモデルケース

UCLA(カルフォルニア大学ロサンゼルス校)の同窓会の特徴は、現役学生に対する支援にあります。会員間の親睦や資金獲得活動に加えて、キャリアサービスと同窓会組織がスポンサーとなり、奨学金や学生支援活動を展開しているのです。

その一例として、1936年以来、同窓会組織が独自に提供している、「Alumni Scholarship」と呼ばれる奨学金制度があります。

現在は計6種類の奨学金が、新入生や編入生、マイノリティ学生を含めた、多様な学生に給付されており、2001年度〜02年度には500人以上の学生に対し、総額85万ドルの奨学金を給付したそうです。

とりわけ興味深いのは、この奨学金の審査には500人以上の同窓会員がボランティアとして関わっていることです。

成績だけでなく、クラブ活動やコミュニティ活動、アルバイト経験を詳細に検討するなど、通常の奨学金とは異なる給付基準で選考が行われており、同窓会組織が現役学生に積極的に関与することで、ユニークな支援活動を実現した好例といっていいでしょう。

先日、ブロードコム創業者のヘンリー・サミュエリ氏が妻のスーザンと連名で10年で1億ドルの寄付を行うと発表しました。

サミュエリ氏自身もUCLAの出身であり、寄付による現役学生への支援という土壌があるからこそ大学の発展につながるといえるのではないでしょうか。

日本の同窓会に求められるのは組織の進化

本格的な少子高齢・人口減少社会の到来とともに、日本の大学に、これまで以上に積極的な資金獲得活動が求められるようになるのは間違いありません。
とはいえ、アメリカの大学の基金運用や寄付金戦略とは歴史も背景も違うため、取り入れることは容易ではないと考えられます。

しかしながら、愛校心を育むビジョンを伝えることや寄付の仕組みづくり、在校生への積極的関与など模倣できる部分はあるはずではないでしょうか。
今一度、個々の同窓会組織が持つ課題や良さを洗い出すことで進化の兆しが見えてくるはずです。

次回は大学の同窓会が提供する卒業生向けサービスについての記事をお届けします。

<参考・引用文献>

・山田礼子「アメリカの大学における最近の同窓会戦略 多彩な活動を支える専門家を育成」,『カレッジマネジメント144』, リクルート進学総研, 2007年, 20-24
・江原 昭博「アメリカにおける大学の同窓会- その成立過程と日本への示唆-」,『国立教育政策研究所紀要第138集』, 2009年, 127, 136-137
・文部科学省実施平成30年度寄付フォーラム配布 「寄附に係る基礎資料」平成30年7月12日
・Forbes JAPAN  ブロードコム創業者が「100億円」をUCLAに寄付する理由

さいごに

校友会ご担当者様、同窓会事務局のご担当者様からお話をお伺いするなかで下記のような課題を聞いております。

  • 寄付金は集めたいが、どうすれば多く集めることができるか悩んでいる。
  • 寄付金は集めたいが、卒業生が母校に興味・関心を持ってくれない。
  • 卒業生と連絡を取りたいが、最新の連絡先が分からず卒業生との連絡が途絶えてしまう。
  • 寄付金を多く集めて、卒業生に有益且つ効果的なサービスを提供していきたい。

現在皆様が抱えていらっしゃる課題や疑問点の解決策のヒントになる資料をご用意しております。
下記のフォームに入力をしていただき、資料のダウンロードをお願いいたします。

■大学職員が抱える「悩みと課題」
■他大学を知ることが成功の第一歩!60大学の調査結果を大公開
■調査結果から見えた、成功までの4つのポイント
■同窓会アンケートから見る同窓会開催のヒント
■力のあるコミュニティを作るには?

関連記事

   

お電話でのお問い合わせはこちら

0120-96-1320

 平日 10:00~19:00