ブログ

  1. HOME
  2. 調査記事
  3. 同窓会へ若い活力を!「学生同窓会」でコミュニティ化を目指す方法とは?

同窓会へ若い活力を!「学生同窓会」でコミュニティ化を目指す方法とは?

近年、同窓会組織が抱える課題の一つに、「若い人の入会が少ない」「若い人の参加が少ない」というものがあります。この課題を克服し、同窓会組織の活性化を図るためには何が必要でしょうか? 

求められるのは、学生が在学中から卒業生と関係構築を促進するためのコミュニティ形成です。大学と在学生、卒業生、同窓会との絆を深めることが可能となれば、同窓会組織が持続的に発展するための基盤を構築することにつながるのではないでしょうか。

本記事では、国内外の事例をふまえながら学生が関与する同窓会、「学生同窓会」の意義や効果、そして課題について、神戸学院大学現代社会学部講師の原裕美さんの論文「大学と卒業生との関係構築における学生同窓会の意義ー日本と米国の学生同窓会を比較してー」を参考にしながら考えてみたいと思います。

「学生同窓会」とは何か?

2010年以降、韓国・中国・タイ・アイルランド・南アフリカ共和国・ナイジェリアなど各国の大学と卒業生との関係性を論じる研究が次々と発表されている。
原 裕美「大学と卒業生との関係構築における学生同窓会の意義―日本と米国の学生同窓会を比較して―」,『京都大学高等教育研究』より

原さんによると、諸外国の大学と卒業生の関係構築の動きや研究が高まっているといいます。
これらの研究により「学生時代の経験と満足度」が、大学と卒業生との関係構築において大きな役割を果たすことが明らかになってきたそうです。
つまり、卒業生と大学との強い絆を維持するためには、大学の活動への参加、卒業生との交流などの経験を在学中から豊かにすることが大切だということです。

この点で非常に参考になる仕組みがあります。米国の大学が設置している「学生同窓会(Student Alumni Association)」です。

平たくいえば、「学生同窓会」とは、各種プログラムやネットワーキング、イベント等を通じて、学生と卒業生、同窓会との関係を促進するための学生団体です。
米国の学生同窓会は、大学の伝統やスポーツ、コミュニティサービスといった幅広い活動を展開しており、「学生の関与」から「卒業生の貢献」への連続性の担保、大学の将来を支える後継者・支援者の育成といった重要な機能を持っているといわれています。
学生同窓会についてもう少し深掘りするために、その歴史や日本の大学の現状について考えてみたいと思います。

学生同窓会の歴史と現在

原さんによると、米国で初めて組織された学生同窓会は、1949年にインディアナ大学で設立されました。
74年にはアイオワ州立大学に全米の大学の学生同窓会と学生財団が集結し、第1回全国大会が開催されました。
また、83年には67の高等教育機関の300名の学生がミネソタ大学に集まり、学生同窓会のネットワークを設立。
さらに、92年には教育発展支援協議会(CASE:Council for Advancement and Support of Education)が、全米の学生同窓会ネットワークを取りまとめ、「学生発展プログラム」として、300以上のCASE加盟機関の学生同窓会と学生財団のネットワークを確立しました。
調査によると、米国のほかにもカナダやオーストラリアのシドニー大学などに学生同窓会が存在するそうです。
学生同窓会を設立する大学が増加した背景には、在学中からに大学の活動や卒業生と関わる経験が重要だという認識が受け入れられたこともあります。

一方、日本では、学生同窓会の存在はほとんど知られていません。
2017年の時点で、日本の大学で学生同窓会に相当する組織は、立命館アジア太平洋大学校友会の「Loop.A.S(校友会学生実行委員会)」と明治大学学生校友会の2つのみ。
学生と卒業生が直接関わる機会はほとんど存在しないのが現状です。
つながる機会の例があるとすれば、OB・OG訪問や寄附、大学や校友会が企画したイベントへの参加等に限られているのです。

40 年以上の長い歴史をもつ米国 の学生同窓会と比較すれば、日本の学生同窓会は萌芽段階にある。
原 裕美「大学と卒業生との関係構築における学生同窓会の意義―日本と米国の学生同窓会を比較して―」,『京都大学高等教育研究』(2018)より

原さんの文章から推察できるように今後、卒業生と大学との関係強化を図るためには、学生同窓会を通して同窓会への学生の関与を促進することがますます重要になっていくでしょう。

「LOOP.A.S」の取り組みと成果

日本の大学が学生同窓会を設置する場合、どのようなポイントに留意すべきでしょうか。
本節でも前出の原さんの論文を参考にしながら、日本で最も長い歴史を持つ立命館アジア太平洋大学の校友会学生実行委員会「LOOP.A.S」(ルーパス)をモデルケースとして取り上げます。学生同窓会の運営に必要な①「投入資源」、②「活動内容」③「活動結果」イベントに参加者が得られる恩恵などの④「直接的成果」、組織やコミュニティにもたらす⑤「間接的成果」の側面から分析してみましょう。

立命館アジア太平洋大学は、2000年開学。学生総数の約半分を国際学生が占め、講義の9割が日英二言語で行われる国際色豊かな大学です。校友会学生実行委員会「LOOP.A.S」は第1期生の卒業に合わせて、校友会と同じく2003年に設立されました。

①投入資源

まず人的資源について考えてみましょう。
2017年6月の時点で「LOOP.A.S」は、1年生および2年生を中心とする38名の学生によって構成されています。
毎年約15人のメンバーが入れ代わる仕組みですが、2017年には約80人の応募があったそうです。
経済的資源に関していえば、「LOOP.A.S」には校友会から年間80万円程度の予算に加えて、必要に応じて資金補助が提供されています。

運営にあたっては、校友会役員の担当者がスカイプを通じてミーティングに参加し、コミュニケーションをとっているほか、事務局を所管する大学の校友課が日常的なサポートやアドバイスを行っています。
また、「LOOP.A.S」では週一回のペースでミーティングが実施されており、その議事録をもとに、大学の校友課との間で振り返りや今後の活動の確認が行われています。

このように学生団体といえども大学や校友課からの人的なサポートも手厚いことが見受けられます。

②活動内容

上記の資源をもとに「LOOP.A.S」では、主に以下の4点の活動が展開されています。

  1. 校友会や大学が学内でイベントを開催する際、受付や会場設営、司会などのスタッフとしてサポート
  2. 校友会の海外支部のイベントへの参加(校友会が費用負担)
  3. 学生と卒業生との交流企画の実施
  4. 「LOOP.A.S」の学生を対象にしたイベントの開催

ユニークなイベントの事例としては、大学の寮「APハウス」を利用して1泊2日の合宿を行い、企業で人事を担当している卒業生と「LOOP.A.S」の学生との交流を行うケースもあるそうです。

③活動結果

「LOOP.A.S」の活動は、学生が国内外で活躍している卒業生と出会うきっかけをもたらしています。また、立命館アジア太平洋大学の入学式では、「LOOP.A.S」の学生が校友会及び学生同窓会の紹介をすることになっており、両組織の認知度の向上に寄与しているとされています。

④直接的成果

学生同窓会の存在は、学生に対してさまざまなメリットをもたらすとされています。
例えば、世界各国で働いている卒業生と話をすることで視野を広げられる点。
それから、卒業生との交流を通じて、学生生活をどのようにして過ごしていくかを学べる点。
「LOOP.A.S」での活動を通してリーダーであることの難しさ、人間関係の大切さ、社会人として求められる言葉の使い方、立ち居振る舞いを学べる点もメリットとして考えられています。

立命館アジア太平洋大学の設立が浅いからこそ、学生が自分たちで試行錯誤し、コミュニティ内での結びつきが強くなることで助け合いの精神が育まれるのかも知れません。

⑤間接的成果

一例として挙げられるのは、「LOOP.A.S」の学生からの呼びかけにより、大学側が把握していなかった卒業生がイベント等に参加してくれることで、卒業生と大学とのつながりを再構築できる点です。
学生が卒業生との交流のなかで、自らのキャリアや大学での学びについて主体的に考えるようになることも大きな効果の一つでしょう。

「LOOP.A.S」の学生たちは卒業後も講義や支部の活動など必要があれば支援したいと口々に語っているといいます。
卒業生は在学時代に支援してもらった伝統を次の世代につなげていくサイクルが出来上がっていると言えるでしょう。

原さんは、学内外における認知度向上や、大学が必要とする支援の明確化等を「LOOP.A.S」の今後の課題として指摘していますが、学生同窓会の存在が学生、大学、校友会に大きなメリットをもたらしているのは間違いないでしょう。

相互教育の意義

本章では、学生同窓会の意義についてもう少し深掘りするために、学生と卒業生との世代を超えた“タテ”のつながりによって、どのような効果がもたらされるのかを考えてみたいと思います。
この点で参考になるのが、法政大学文学部教育学科の笹川孝一教授の論文「社会教育主事課程における卒業生と現役生との交流による相互教育の試み」(法政大学資格課程年報,2017年)です。

笹川教授は社会教育の専門家です。
教授は社会教育演習の修了生と、法政大学文学部教育学科及びキャリアデザイン学部、前任校の東京都立大学の「笹川ゼミ」出身者などをメンバーとする「法政大学・東京都立大学笹川ゼミ同窓会」を2002年に発足させました。

同窓会では、①七夕パーティやクリスマスパーティ、社会教育演習の修了式など、学部学生のイベントへの同窓会役員の参加。寸志や飲み物の提供、②3年に1度開催される「総会」への学生の参加、③卒業生のライフヒストリーを聞き、意見交換を行う「定例研究会」への学生の参加――といったかたちで、異世代間の相互交流が行われています。
こうしたイベントに参加した学生からの感想を抜粋し、ご紹介します。

・人見知りで初対面の人と話すのは苦手なので、グループワークはとても緊張した。ただ、先輩方との交流はとても有意義だった。

・仕事についてじっくり考えたことがなかったが、社会人の考え方や経験を聞くことができてとてもためになった。

・自分とは全く違う年齢や立場の人々と意見を交換することは、新たな発見、刺激になるので参加してよかった。

・社会に出て働くとはどういうことか、いい意味でも悪い意味でもリアルな考え方に触れられた。

・めんどくさいと思うようなことも将来のためになると思って、一つ一つ乗り越えていけたらと思うようになった。

・笹川ゼミ・社会教育演習の授業を通して人との繋がりが保たれ、継がれていることは魅力的。親睦会も10年、20年続く交流の場になったらいいと思う。

・自分の大切な時間を削って母校の後輩のために使おうとする姿勢は本当に尊敬できるし、多少なりとも見習わなければならないと思った。

笹川 孝一 「 社会教育主事課程における卒業生と現役生との交流による相互教育の試み」,「法政大学資格課程年報」(2017)より

これらの感想から見て取ることができるように、異世代間の交流は、学生の視野を広げ、学生生活や就職、社会人としての生き方に対する構えや姿勢を養うきっかけになります。
それと同時に、コミュニティの歴史の中で築き上げられてきた伝統やレガシーに触れ、卒業後もコミュニティの存続に協力していこうというモチベーションを創出するきっかけにもなるはずです。
学生同窓会の設立および運営にあたっても、「法政大学・東京都立大学笹川ゼミ同窓会」の事例から学ぶべきところは少なくないでしょう。

在校生を巻き込みながら同窓会を盛り上げていくために

今後、現役学生を積極的に巻き込みながら、校友会組織の活性化を図っていくためには、どのようなハードルを乗り越える必要があるでしょうか。

大きな課題として挙げられるのは、いかにして心理的な抵抗感を抑えるかということです。
異世代間の交流と聞くと「知らない大人と話さなければいけない」というイメージが先行しがちです。
社会人に比べて人生経験も知識も少ない学生が、ある種の気後れを感じるのは当然のことですし、プライベートの時間を割いてわざわざ出向く意味があるのかといった疑問を持つ学生も少なくないでしょう。

学生同窓会の活動を活発なものとしていくためには、こうした抵抗感を抑えるための工夫が必要です。
例えば、同郷出身者や同じゼミの出身者といった共通点があれば、異世代間のコミュニケーションは意外と容易であること。
それから、卒業生との交流によって多くの学びが得られる点や、OB・OG訪問やインターンシップのチャンスを得るなどキャリア形成の面でもメリットがある点をもっと積極的にアピールしていく必要があると思います。

そのためには大学側と在校生、卒業生が歩み寄りながら進めていくほかないでしょう。

もっとも、先ほども述べたように、日本の学生同窓会はごくわずかしかありません。海外の事例をヒントにしたり、さまざまな異世代交流組織の事例にも学びながら、学生同窓会の組織化や運営を進めていくことが大切ではないでしょうか。

<引用・参考文献>

さいごに

校友会ご担当者様、同窓会事務局のご担当者様からお話をお伺いするなかで下記のような課題を聞いております。

  • 若い卒業生の方に母校の活動に興味を持ってもらいたい。
  • 40代以下の方にホームカミングデーにもっと参加してもらいたい。
  • 若手卒業生向けのイベントを検討しているが、どうしたらいいのか悩んでいる。
  • 在学生と卒業生との接点を作りたい。

現在皆様が抱えていらっしゃる課題や疑問点の解決策のヒントになる資料をご用意しております。
下記のフォームに入力をしていただき、資料のダウンロードをお願いいたします。

■若手卒業生に関する課題
■若手卒業生のエンゲージメントを高めるために
■若手卒業生コミュニティの形成まで
■若手卒業生メディアの立ち上げ
■在校生向け支援
■実施までのスケジュール
■弊社実績

関連記事

   

お電話でのお問い合わせはこちら

0120-96-1320

 平日 10:00~19:00