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大学同窓会組織の目的と課題とは?

日本の大学の同窓会組織は、いかなる目的のもとで運営されているのでしょうか。また、いかなる機能を果たすことが求められているのでしょうか。
本記事では、同窓会組織の多様性に注意を払いつつ、同窓会が卒業生・在学生に対して大きなメリットをもたらすことのできる組織へと進化を遂げるための条件について考えてみたいと思います。

1. 国立・私立大学の違いからみる同窓会組織の多様性

同窓会組織の目的や機能について考える前に、同窓会組織の「多様性」について論じておきたいと思います。
一口に同窓会組織といっても、対象となる会員や組織の規模や特徴はさまざま。その内容について明確にしておかなければ、議論の混乱はまぬかれません。
ここでは岩手大学評価室の大川一毅教授の論文「大学における全学同窓会組織の目的と機能―母校支援に関わる自覚的責務とその背景―」を参考に整理してみましょう。

同窓会組織といいますと、前身校や系列校を含めた全学・全学園の卒業生を構成員とする「全学同窓会」を思い浮かべられる方が多いと思います。

しかしながら、大川教授によれば、出身学部や学科を基礎単位として組織される「学部・学科同窓会」、出身学部や学科の枠を越えて卒業年次・入学年次を単位として組織される「年次同窓会」、出身地や現在の居住地を単位として組織される「地域同窓会」、研究室やゼミなど在学中の所属組織を単位として組織される「OB・OG会」、それから同じ職場や同業種に就職した卒業生によって組織される「職場・職域同窓会」など、さまざまな組織が存在するとのことです。

また、「全学同窓会」というと卒業生のための組織というイメージを持つ方が少なくないと思いますが、多くの場合、在学生や教職員も準会員として包摂します。また、保護者や中途退学者の入会が可能なケースもあります。
同窓会組織の目的や機能を考えるにあたって、まずこうした多様性を考慮に入れる必要があるのです。

さらにもう一点、国立大学と私立大学とで卒業生組織のあり方が大きく異なるのです。
私立大学では「全学同窓会」が組織されるケースが多いのに対して、国立大学の同窓会活動は、学部を単位とした「学部同窓会」を中心に展開されることが多いということがわかりました。

このような違いがもたらされるのはなぜでしょうか。
大川教授はその一因として、国立大学の発足にまつわる歴史的経緯を挙げています。
日本の国立大学の多くは1949年、同一都道府県内の旧制官立高等教育機関の統合によって新制大学として発足しました。
このとき旧制学校の同窓会は統合せず、伝統の継承を選択。
よって、国立大学の卒業生組織は新制大学の歴史よりも古い場合が多いこと、各学部の距離が離れていることや、前身校を基礎とした学部同窓会の会員の特性や規模、保有する資産にバラツキがあったことも阻害要因となり学部を中心として同窓会が組織されることになったのです。

もっとも、2004年以降の国立大学の法人化以降は、学部同窓会の“連合”により全学同窓会を設置する国立大学が増えています。
2003年までは国立大学全86大学のうち「全学同窓会」を組織する大学はわずか18校でしたが、2016年には少なくとも71校と、約4倍に増加したのです。

参考・引用元:大川 一毅(2016)「大学における全学同窓会組織の目的と機能 – 母校支援に関わる自覚的責務とその背景 -」『アルテス リベラレス(岩手大学人文社会科学部紀要)第99号 』, 岩手大学

その理由としては、本格的な人口減少社会の到来に伴う進学者市場の縮小などにより、大学経営の安定化が大きな課題となったことが挙げられます。
教育力の強化や経営資源の掘り起こし、有効活用が求められるようになったことで、卒業生や全学同窓会の重要性がこれまで以上に高まったと考えていいでしょう。
以上、同窓会と呼ばれる組織の多様性、そして、国立大学と私立大学の同窓会組織の違いについて考えてきました。ここからは「全学同窓会」に焦点を絞って、その目的や機能について考えてみたいと思います。

2. 頻出語彙から考える。同窓会組織の「目的」とは

では、全学同窓会はいかなる目的を達成するために組織されているのでしょうか?
国立大学と私立大学のそれとでは、掲げる目的に何か違いがあるのでしょうか?
前出の大川教授は、定款や会則、規約における“目的”に関する規定文のなかに頻出するキーワードを手掛かりとして、全学同窓会が目指す方向性を抽出しています。

引用元:大川 一毅(2016)「大学における全学同窓会組織の目的と機能 – 母校支援に関わる自覚的責務とその背景 -」『アルテス リベラレス(岩手大学人文社会科学部紀要)第99号 』, 岩手大学

まず、大川教授は、全学同窓会の会則では「大学の発展」「会員相互の親睦への寄与」を規定するのが標準的で、「社会への貢献」「母校の支援」に言及するケースも多いと分析しています。上記の文言は、全学同窓会の会則の多くで確認することができますが、傍証としていくつかピックアップしておきましょう。

  • 早稲田大学校友会 会則第2条
    「本会は、会員相互の親睦を厚くし、校友の組織を充実させるとともに、会員と早稲田大学との関係を密にし、連携を強化することで、早稲田大学の事業を援助する」

  • 東京大学校友会 会則第2条
    「本会は、東京大学と会員及び会員相互がコミュニケーションを緊密に行うことによって、東京大学を支援していく環境を醸成するとともに、会員が相互に親睦、協力等の活動を行うことを目的とする」と定めています。

  • 立教大学校友会 会則第3条
    「本会は会員相互の親睦を図り、学校法人立教学院立教大学の発展に寄与することを目的とする」

  • 青山学院校友会 会則第3条
    「本会の目的は、一人でも多くの交友の参加を得て、校友間の親睦を図ると共に母校の発展に寄与することにある」

このように、多くの同窓会が「大学の発展」や「会員相互の親睦への寄与」を目的として掲げる一方で、大川教授は、国立大学の全学同窓会には、私立大学や公立大学には見られない特有の傾向が存在すると指摘しています。それは「母校」という語彙の登場比率です。

全大学の「全学同窓会」の目的に関する規定のうち、「母校」という語彙を使うのは半数以上の54%に上りますが、国立大学の全学同窓会の会則等ではわずか14%にすぎないのです。大川教授はまた、「交流」「連携」「学部」など、“連合”を示唆する語彙の出現率が高いことも特徴だと述べています。

こうした分析をもとに、大川教授は下記のように結論づけています。

「国立大学の『全学同窓会』が目指すところは、学部等同窓会あるいはその他多様な同窓会間の『連合組織』として各同窓会の交流を促進し、その総体的な力を導き、これによって大学の発展に寄与することである」

国立大学と私立大学の全学同窓会の目的に違いがみられるのは、前節で論じた国立大学の同窓会成立の歴史的経緯によるところが大きいとみていいでしょう。
同窓会組織の成り立ちは違えど、大学の発展のために寄与しているということは結果から見ても間違いありません。

3. 目的を達成するための母校支援のあり方とは

では、同窓会組織は目的を達成するために実際にどのような活動を展開しているのでしょうか。
本節では同窓会組織の機能について考えてみたいと思います。
同窓会組織による母校支援と言いますと、寄附のかたちをとることが一般的だと思いますが、ユニークな活動を展開している同窓会もあります。小樽商科大学の同窓会「緑丘会」は、その一例です。

「緑丘会」は数ヶ月に一度のペースで「緑丘ビジネス塾」と称するイベントを開催。企業の第一線で活躍する卒業生が講師役となり、首都圏在住の卒業生に対して講演を行なっています。
また、毎年14回開催するキャリア形成支援のための正課教育「エバーグリーン講座」や、学生の海外派遣留学や教員の海外派遣の支援、学業成績優秀者への奨学金給付、大学教育と同行しての高校訪問などを行っています。

「緑丘会」がダイナミックな支援活動を展開できるのは、キャリア形成支援をはじめとして、卒業生のみならず在学生のサポートにも力を入れているからではないでしょうか。在学生の頃に手厚いサポートを受けた卒業生が、同窓会組織のさらなる強化を目指して奮闘する――こうした正のサイクルが力強い同窓会活動を生み出す源泉となっているのは間違いないと思います。

4. 卒業生は同窓会組織に何を求めているのか

今後、同窓会組織が目的をより十全なかたちで達成していくために、どのような視点が求められるでしょうか。
重要なのは、卒業生が母校に対して抱くイメージや思いを汲み取ったうえで、彼ら・彼女らのニーズにマッチした活動を展開することです。
この点、興味深い調査があります。愛知淑徳大学人間情報学部の安田恭子講師らのグループによる「大学卒業生の母校へのイメージ調査――テキストマイニングと数量化分析を用いて――」です。

安田講師らのグループは、愛知淑徳大学の卒業生を対象として「愛知淑徳大学の卒業生で良かった思うこと」についてアンケート調査を行いました。
その結果、「知名度」「友人との出会い・絆・交流」と回答した卒業生が有効回答数の3分の1に上ったのです。
この調査により、これからの同窓会組織には、卒業校の知名度の高さから生まれる自信や誇り、それから学生時代の友人や教員との豊かな人間関係を醸成するための取り組みが求められるということがわかります。
愛知淑徳大学の事例を一般化できるかどうかは別として、卒業生の声を汲み取りながら、同窓会組織の将来的な方向性を見定め、ニーズに合った効果的な活動を展開していく姿勢が欠かせません。

また、AIを活用して感情データの分析・可視化を手掛けている「株式会社Emotion Tech」が2018年に行った調査も紹介します。
「あなたはご自身が卒業した大学に入学することを、家族や親しい友人・知人にどの程度すすめたいと思いますか?」という質問に対するYesの回答が高かった大学では、「OB・OGネットワーク」「ネームバリュー」「社会的イメージ」が押し上げ要因として影響したそうです。その意味では、これからの同窓会組織には、大学の「ブランディング」への寄与が求められるといっていいでしょう。

5. 同窓会組織が直面する課題、そして、その超克のポイントとは

これまで見てきたように、同窓会組織には、卒業生と母校とのつながりを軸として、「大学の発展」や「会員相互の親睦への寄与」「社会への貢献」「母校の支援」といった目的を達成することが求められています。
大学経営の安定性の向上にむけて同窓会組織が果たすべき役割の重要性については一寸の疑いもありません。
その反面、さまざまな課題を抱えているのも確かです。
例えば、同窓会組織のメリットが在学生や卒業生から見えづらい点、卒業生との中長期的な関係維持の難しさ、それから同窓会組織の運営にボランティアに近いかたちで協力してくれる卒業生を確保することの難しさ……こうした課題を超克するためには、同窓会組織のプレゼンスをこれまで以上に高める必要があります。
そのカギは同窓会組織の構築にかかっているといっていいでしょう。

<参考・引用文献>

 

さいごに

校友会ご担当者様、同窓会事務局のご担当者様からお話をお伺いするなかで下記のような課題を聞いております。

  • 卒業後も母校へ興味・関心を持ってもらいたいが、方法・やり方が分らず悩んでいる。
  • 卒業生が同窓会組織に何を求めているのかが分からない。
  • 卒業生に同窓会の活動をもっと知ってほしい。
  • 卒業生が母校に携わる付加価値を付けていきたい。

現在皆様が抱えていらっしゃる課題や疑問点の解決策のヒントになる資料をご用意しております。
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