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5分でわかる!ホームカミングデーとは何か?

少子化や大学全入時代の到来など、大学を取り巻く環境が厳しさを増すなかで、卒業生との関係強化に力を入れる大学が増えています。
卒業生は大学にとって心強い後援基盤。寄付や募金の依頼のみならず、学生支援や社会貢献活動の仲介など、卒業生は大学の活動を充実させるうえで欠かすことのできない潜在的な資源です。
卒業生とのつながりを維持し、絆を深めるための重要なイベントの一つが「ホームカミングデー」です。
今日の大学には、「ホームカミングデー」を卒業生との関係強化の起爆剤として生かすことで存在感を高め、経営基盤をより盤石なものとすることが求められています。
本記事では、「ホームカミングデー」の特徴について簡単に整理したうえで、これからの方向性について考えてみたいと思います。

「ホームカミングデー」とは何か?〜「学園祭」との違い

そもそも「ホームカミングデー」とは何でしょうか。
まずは、同時期に開催されることの多い「学園祭」と比較しながら、その特徴についてまとめてみましょう。

「ホームカミングデー」は、卒業生やその家族、教職員OBなどを大学に招いて歓待するイベントで、キャンパスツアーや在学生によるアトラクション、学食を楽しむ食事会、同窓の著名人の講演会、名物教授の記念講義など、さまざまな企画が実施されます。
主催するのは大学もしくは校友会で、イベントの目的は卒業生の動向把握や交流促進、愛校心の醸成、大学からの情報発信などにより、卒業生との関係強化を図る目的があるといっていいでしょう。

一方、「学園祭」は、大学の公式認可を受けた学生主体の組織(実行委員会)が主催するイベントで、ゼミによる研究発表、サークルなどの学生団体による活動発表、模擬店の出店のほか、芸能人のライブや著名人のトークショー、ミス/ミスターコンテストなどエンターテインメント性の高い催しが行われます。
また、来場者に関しては、在学生や卒業生のみならず、大学に特に関わりのない人も参加できるケースがほとんどです。
実際、早稲田大学の「早稲田祭」は2日間で約18万人、青山学院大学の「青山祭」には3日間で計15万人が来場するなど、秋の一大イベントとなっています。

こうした比較をふまえれば、「ホームカミングデー」と「学園祭」とでは、主催者やコンテンツ、来場者の面で大きな違いがあることを理解できるでしょう。

次に日本の大学における「ホームカミングデー」の歴史に簡単に触れたうえで、その実施状況についても確認しておきましょう。

「ホームカミングデー」の歴史は意外に古く、早稲田大学や日本女子大学など、一部の私立大学は1980年代から開催してきました。
その後、1990年代になって、私立大学を中心に広く普及したといわれていますが、その一方で、国立大学が「ホームカミングデー」を開催するようになったのは比較的最近のことです。
転機は2004年。国立大学の法人化により寄付を受け入れやすくなったこと、そして、少子高齢化に伴う大学間の競争激化を背景として、卒業生と大学との関係強化に向けて「ホームカミングデー」を開催する国立大学が増えてきたといわれています。

岩手大学の大川一毅教授らが2013年に全国245大学を対象として実施したアンケート調査調査によると、「ホームカミングデー」を開催している大学は、国立大学で52%、私立大学で51%、公立大学で31%です。

参考文献:大学が実施する「卒業生サービス」の現況と今後の展望 : 全国大学アンケート調査をふまえて(III-1部会 高等教育(3),研究発表III)
大川一毅、嶌田敏行、山下泰弘、西出順郎(2015)よりデータ引用、グラフ作成。

国立大学と私立大学に関していえば、「ホームカミングデー」は珍しい存在ではなくなっているといっていいでしょう。

「ホームカミング」はフットボール中心!

ここでは、日本の大学の「ホームカミングデー」についてもう少し深掘りするために、そのモデルになったと考えられる、アメリカの高校・大学の「ホームカミング」についてまとめてみたいと思います。

「ホームカミング」は、アメリカの高校や大学における秋の一大イベントとして知られています。
学校によってバリエーションはさまざまですが、一般的には、9月下旬から10月上旬、アメリカンフットボールチームが地元で試合を行うのに合わせて、卒業生を母校に招き、さまざまなイベントが開催されます。
この試合は「ホームカミングゲーム」と呼ばれます。
「ホームカミングゲーム」前の数日間は「スピリット・ウィーク」と呼ばれ、“ホームカミングキング/クイーン”の選出といったイベントが催されるほか、アメリカンフットボールの試合の後はダンスパーティを開くのが恒例になっているそうです。

こういった「ホームカミング」のルーツは、1911年にあるといわれています。
ミズーリ州立大学のアメリカンフットボールチームが、ライバル関係にあったカンザス州立大学との試合に先立って卒業生を招いたところ1万人が参加、パレードや激励会が行われたそうです。
このミズーリ州立大学の取り組みがモデルとなって、全米の高校や大学に「ホームカミング」の習慣が広まったといわれているのです。
その起源に関しては諸説あるようですが、アメリカの「ホームカミング」は19世紀初頭に、高校および大学とその在学生、卒業生との一体感を高めるためのイベントとして生み出されたと考えておけば間違いないでしょう。

「ホームカミングデー」のユニーク事例

日本の大学の「ホームカミングデー」に話を戻しましょう。ここでは来場者とコンテンツの観点から最近のトレンドについて整理したうえで、ユニークな事例を紹介してみたいと思います。

来場者に関しては、大学によってさまざまです。
早稲田大学のホームカミングデー「稲門祭」のように、卒業後15、25、35、45、50年目の卒業生とその家族に対象を絞ってイベントを実施する大学もあれば、明治大学の「ホームカミングデー」のように、地域住民をはじめ、あらゆる人々に門戸を開いているケースもあります。
2019年の明治大学「ホームカミングデー」は「東京名物神田古本まつり」の期間中に開催されたこともあり、4000人を超える来場者が集まったそうです。

コンテンツに関しては、模擬店の設置や、ステージにおける音楽演奏・パフォーマンス、卒業生の座談会や講演会(最近はウェブでライブ中継を行うのがトレンドのようです)、子ども向けのワークショップなどが行われるケースがほとんどですが、ひときわユニークなコンテンツを創りあげている大学もあります。それは近畿大学です。

近畿大学は、2019年10月に開催した「近代に帰ろう!ホームカミングデー2019」に合わせて、フードフェスティバルを開催。
日本の大学としては初の試みとして、レストラン検索・予約サイト「食べログ」とタイアップするとともに、卒業生が経営している16の飲食店に出店してもらい、各店舗の自慢の一品や、イベント限定のオリジナルメニューを提供しました。当日は卒業生とその家族および来春卒業予定の在校生、合わせて1500名以上が参加したそうです。

進化のための3つのポイント

本記事の締めくくりとして、「ホームカミングデー」を進化させるためのポイントについて考えてみましょう。3つのポイントがあると思います。

第1のポイントは「学校の特色を前面に打ち出したコンテンツ」です。「ホームカミングデー」では音楽演奏やパフォーマンス、卒業生の座談会や講演会などを実施するのが一般的ですが、卒業生の愛校心に火をつけるためには、大学の特色や地域特性を前面にフィーチャーした、唯一無二の“トガった”コンテンツを創りあげる必要があると思います。

第2のポイントは、「在校生、教員と積極的に交流できる場づくり」です。これは、卒業生に「『ホームカミングデー』に参加してよかった!」と思ってもらうための戦略の一つです。
単に旧交を温めるだけでなく、教員や在学生をしっかりと巻き込み、ビジネスチャンスの拡大につながる仕組みを創出することで、「ホームカミングデー」の価値を飛躍的に高めることができるはずです。
例えば、企業が抱える課題を大学の教員に相談し、アドバイスを仰ぐ場を設ける。あるいは、他企業に勤める卒業生とのビジネスマッチングの場をつくる。
さらに、在学生との交流の場を設けることで、「ホームカミングデー」にリクルート機能を持たせることも考えられます。こうした場づくりを通して、大学や卒業生のネットワークを最大限に活用していくことが大切です。

第3のポイントは「卒業生が誇りに母校を誇りに思えるようなブランディング戦略」です。
その足掛かりとなるのが、大学スポーツです。アメリカの高校・大学の「ホームカミング」イベントが、アメリカンフットボールの試合でいちばんの盛り上がりを見せるように、スポーツは愛校心を燃え上がらせるきっかけになります。
チームが勝とうが負けようが、在学生や卒業生が揃って応援をすることで一体感が生まれ、母校に対する誇りは一段と強いものになるはずです。

大学の持続的な発展に向けて、いかにして大学と卒業生との絆を強固なものとしていくか。
「ホームカミングデー」をなぜ行うかを改めて考えながら、さらなる進化を図ることが大切だと思います。

<参考文献・URL>

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