
2020年の大学校友組織の取り組み、2021年トレンド予測
あけまして、おめでとうございます。
Alumni-Social Lab運営、笑屋株式会社代表の真田です。
昨年は新型コロナウイルスの感染拡大という未曽有の事態に陥り、非常に大きな変化があった1年となりました。緊急事態宣言や度重なる感染拡大を受け、学校運営や皆さんの生活にも大きな変化が訪れたと思います。
弊社も個人向け同窓会サービスの需要減がありましたが、反対に大学向け各種サービスに注力できた1年となり、多くの大学様とコミュニケーションを取り、またサポートを行って参りました。
この記事では、そんな2020年の大学校友組織の取り組みをダイジェストでふりかえり、あわせて2021年のトレンドを予測していきたいと思います。
次年度の施策を考える上で、参考にして頂ければ幸いです。
2020年ふりかえり
オンラインイベント元年
対面イベントの実施が難しくなり、イベントは軒並みオンライン化を迫られました。
各大学が毎年開催しているホームカミングデーは、慶應「連合三田会」や早稲田「稲門祭」など中止にする大学が多かった中で、初のオンライン開催へ踏み切る大学もありました。いくつか紹介します。
– 立命館大学「オール立命館校友大会2020」
ライブ配信、オンデマンドコンテンツ制作、Zoomを活用したオンライン懇親会と、企画の幅・制作力ともに素晴らしいイベントでした。

一般的なYouTube配信だけでなく、Facebook(日本語・英語)による配信も行い、トータルの視聴者数はトップクラスの実績でした。
– 東洋大学 2020ホームカミングデー【2020年3月・9月オンライン卒業式開催】

一般卒業生向けの企画以外に、2020年卒業生に対するオンライン卒業式企画、オンラインゼミ交流会など、他大学では見られない取り組みが印象的でした。
東洋大学「オンラインホームカミングデー」の担当者の方に詳しくお話を伺ったので、気になる方は下記の記事をご覧ください。
また、ホームカミングデー以外のオンラインイベントにトライする大学もありました。
– 早稲田大学 先輩と語ろう!2020@オンライン
– 東北大学 オンライン校友祭
– 筑波大学 卒業生×学長 オンライン飲み会
– 中京大学 新春WEB賀詞交歓会
ホームカミングデー含めいずれの企画も、若年層や海外など遠方在住者といった通常なかなかリーチできなかった新規層の獲得に成功しています。
また今後、アナログからデジタルへの移行、即ちDXが重要視される中で、イベントや施策のオンライン化は、結果はどうであれそのトライ自体に大きな価値があったと感じております。
寄付・支援
コロナにより困窮する在学生を支援する動きは大学全体で活発でしたが、各大学の校友組織でもOB・OGへ募金や寄付を求める企画や取り組みが盛んでした。
金銭以外で在学生を支援する取り組みもありました。
– ICU 在学生支援サイト 国際基督教大学同窓会「ガクサポ」
– 青山学院大学 コロナ禍でも夢や目標に向かう学生を応援するオンラインイベント「AOYAMA ONLINE FESTIVAL」
また、コロナ文脈以外にも寄付関連で興味深い新しい取り組みがありました。
– 桜美林大学 「ふるさと 桜募金」

名前の通り、ふるさと納税型の寄付金集めの仕組みです。
これまで他大学でも近しい取り組みはありましたが、サイトデザインや返礼品の考え方など、より従来のふるさと納税に近しい企画であり、寄付層の広がりや寄付者の満足度向上を期待できると捉えています。
桜美林大学「ふるさと桜募金」の担当者の方に詳しくお話を伺ったので、気になる方は下記の記事をご覧ください。
大学のふるさと納税型寄付金について詳しく知りたい方は、下記の記事をご参考にしてください。
LINE公式アカウント
郵送費圧縮と若年層とのタッチポイント増加を目的に、卒業生のデジタルアカウントを取得する動きが近年高まってきていますが、その流れの中で2020年はLINE公式アカウントの運用を開始する大学が多くありました。
アカウント獲得の為のキャンペーンを実施している大学もありました。
– 追手門学院大学 LINE@×校友会 プレゼントクイズ
一定の費用対効果が得られているという話も複数の職員の方から伺っており、今年も多くの大学が開設すると予測しています。
2021年トレンド
ハイブリッド型イベント
今年のイベント開催は、上半期はオンライン、下半期はオフラインとオンラインのハイブリッド型を検討している大学が現時点では多い印象です。
ホームカミングデーに関しては、2年連続中止を避けたい意向の大学が多いですが、情勢を見極めながら様々な準備を進めていかなくてはならない為、予算や労力面で難易度は例年より高くなるでしょう。
重要なことは、オフラインとオンラインを別で考えるのではなく、これからの時代ずっとハイブリッドなコンテンツや施策が求められるということです。
オフラインとオンライン、それぞれの良さを理解した上で、両方のノウハウを積み上げながら、上手く連携させていく必要があります。
そういう意味では、多少コストが掛かったとしても、苦手意識を持たず全ての大学がこのハイブリッド、つまりオムニチャネル構想を持つべきでしょう。
飲食店ネットワーク
近年、活躍する卒業生のネットワーキングに力を入れる大学が増えてきていますが、元々事業者数が多く、またコロナ禍で苦戦を強いられている外食業界の卒業生を支援する動きが目立ち始めています。
特に、昨年リリースした近畿大学の「近大卒の飯を喰らえ![食べログ]」は業界でのインパクトも非常に大きく、リリース後、利用者や掲載店舗は継続的に増えていると聞いています。
近畿大学の担当者の方に詳しくお話を伺ったので、気になる方は下記の記事をご覧ください。
外食業界に限らず、卒業生の業界コミュニティを発掘・育成し、在学生含むネットワーク作りや各種支援をしていく流れは、今年のトレンドになると予測しています。
校友会サイトリニューアル
昨年、近畿大学や東洋大学が校友会サイトをリニューアルしましたが、多くの大学が準備に入っていると聞いております。
デザインやパフォーマンス改善だけでなく、モバイル表示を意識したデザイン、常時SSL化、支部などのコミュニティを活性化しやすいサイトの需要が大きいと感じております。
校友会サイトはWEBの玄関です。
その大学のブランドやカルチャーを最大限生かしながら、各種デジタル施策やコミュニティ活性にどれだけシームレスに連携できるかが今後の重要な鍵となるでしょう。
インスタグラム
昨年多かったLINE公式アカウント開設に続き、若年層の取り込みを目的にインスタグラムのアカウント開設も増えてくると予測しています。
現時点で、フォロワー数の多いアカウントは下記2つです。
– 立教大学 rikkyo_alumni フォロワー数:1,646
– 立命館大学 校友会設立100周年記念アカウント r.alumni100th フォロワー数:636
SNSによってコンテンツや見せ方を変える必要がある為、安易に各プラットフォームを開設しコンテンツを流用するのではなく、各SNSごとに適切なゴールやルールを設定するなど、戦略的な運用が求められています。
WEB会報誌
郵送費削減や若年層の取り込みを目的に、会報のコンテンツをWEB上で届ける仕組みを検討する大学が増えてきました。
会報をPDF化し、校友会サイトにアップしている大学は非常に多いですが、このやり方はモバイルの閲覧性が悪く、またそれぞれのコンテンツが独立していない為、SNSでのシェアに向いていません。
メッセージやインタビューなどの各コンテンツを切り分け、適切なSNSに、適切なタイミングで、適切な人から、適切なメッセージを添えて発信していくことが、今の時代の正しいコンテンツ流通です。
この1年は、コンテンツの中身より、コンテンツの届け方に注目していきたいと思います。
さいごに
10年以上この領域を見てきていますが、大学の校友領域への人やお金の投資は年々増えてきていると実感しています。
奇しくもこの1年は、コロナ禍における在学生支援で、より存在感を増したとも言えるでしょう。
この2021年、ウィズコロナからアフターコロナへ移行する中で、世の中は更に大きく変化すると思います。
校友領域でも、若年層の取り込みやデジタル施策の推進など、新たなチャンスが必ず訪れるはずです。
新しいことを行うことの難易度はもちろん高いですが、少しでも成功率が高められるように、Alumni-Social Labでは、役立つ情報やサービスを今後も届けて参ります。
2021年、果敢に挑戦し、素晴らしい1年にして参りましょう。
それでは、本年もよろしくお願いいたします。